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自由な発想で繰り出される唯一無二のジビエ料理を堪能「MARCY’S(マーシーズ)」

神奈川 シカ イノシシ ダイニングバー その他
2020.03.30

横浜スタジアムを擁する横浜公園に隣接するビルの地下1階にその店はあります。

横浜・本牧生まれで本牧育ち、もちろん横浜DeNAベイスターズの大ファンでもあるマスター、高木昌史さんが一人で切り盛りする店、「MARCY’S」が本日の目的地です。

店内にはL字型のカウンターに7席のみ。ランチタイムはサンドイッチのランチセットが美味しく、ボリュームもあり、さらにSNS映えもすると評判の人気店ですが、今日のお目当てはディナータイム限定のジビエ料理。こちらでいただけるのは神奈川県の大山産の猪と鹿です。

それぞれの持ち味を引き出し、それを最大限に生かす手腕

一品目は「鹿スジ肉のチリコンカルネ 自家製パン添え」(900円・税抜)。

スジ肉というと硬い、筋張っているというイメージが先行しがちですが、口の中へ運ぶと食べるとホロホロと身が崩れ、まるでとろけるよう。聞けば4時間、じっくり煮込んでいるそうで、それだけの手間が納得できるやわらかさ。

そのままでも十分美味しいのですが、料理に合わせて焼いたパンと一緒に食べると、チリコンとパンの味が互いにそれぞれの旨味を引き出し、より鹿の味を繊細に感じ取ることができます。
「チリコンと言っても辛すぎないように仕上げています。肉の旨味がしっかり伝わるようにね」と高木さん。

次に出していただいたのは「猪の粕漬け」「鹿の粕漬け」(100g各1,700円・税抜)という2つの粕漬けメニュー。

両面を香ばしく焼いたら、ブルーチーズを添えて。上には金粉と七味がかけられています。まずは猪の粕漬けから。そのまま一切れいただくと、豊潤な酒粕の香りが鼻腔に抜け、次に猪の持ち味が口に広がります。噛むと脂の甘さが広がり、酒粕独特の香りと混然一体となって溶けていきます。

「酒粕は発酵食品なので、発酵したものが合うと思って、いろんなチーズを試したんです」と高木さん。カマンベールや白カビ系など試行錯誤した結果、ブルーチーズにしたそうですが、「決して猪よりチーズに勝ってほしいわけじゃない」。あくまで主役はジビエそのものの味。

いっぽう鹿の酒粕漬けはというと、そのまま食べるとダイレクトに鹿らしい優しい旨味が伝わってきて、酒粕の味と香りがアクセントに。

ブルーチーズとの相性は…、猪よりも鹿はあっさりしているせいか、チーズの豊潤な味が鹿の味をふわりと包み込むようで、猪よりも繊細な印象。

「猪BLTサンド」(2,400円・税抜)は、近年流行のボリューミーで切り口が美しいタイプ。薄めにスライスされた自家製の猪ベーコンが、たっぷり挟まれています。

ベーコンにはしっかりと塩が効いていますが、パンと玉ねぎの甘さ、トマトとレタスのフレッシュ感と共に噛みしめれば、絶妙なバランスの美味しさを醸し出します。パンに塗られた辛子マヨネーズがアクセントで「これがあるから味が締まるんですよね」。

「中途半端なものは出さない」というポリシーによる美味の数々

「猪のベーコンは漬け込みに1週間、塩抜きが8時間、乾燥に24時間、燻製は1時間で、それから火入れに2時間から2時間半。じっくり火を入れています」。
高木さんに猪ベーコンの作り方を尋ねてみると、予想以上に時間と手間をかけていることが判明。そんな高木さんはいったいどんな人物なのでしょうか?

「学生時代のアルバイトで、キッチンで働くようになって、お客さまから『美味しい』と言われることの虜になってしまったんです」。
その後、イタリアン、アメリカンレストラン、海上自衛隊のカフェテリアなど、さまざまな飲食店で調理の腕を磨きながら、チーズ研究家と一緒に「チーズの会」を開催したり、「将来のために」とあえてホールで接客として働いたりも。いつか開くための自分の店に必要なスキルを身につけ、満を持して2013年6月、自らの愛称を冠した「MARCY’S」をオープン。

この日、出していただいた料理だけでも、チリコンカン、酒粕漬け、サンドイッチとバラエティーに富み、ひと言で何料理と表現しにくい理由は、高木さんが幅広いジャンルの店でキャリアを積み、それらを最大限に利用しているから。

自家製パンはあえて発酵を1回にすることで、肉汁がパンにしみ込みにくく仕上げ、「最後までパンそのものの味を召し上がれるように、そして「猪BLTサンド」は玉ネギの上にベーコンをのせるのは、猪の肉汁を玉ネギにしみ込ませ、「旨味を逃さないように」との配慮。
こうした細かなテクニックと丁寧な仕事、そして食材や調理法の組み合わせを自由に発想する独創性が、高木さんの魅力。

「人の体を作るのは、口に入るものですから、大事にしたいですね。だから少なくてもここでは、中途半端なものは出しません」。
料理を通じて人の健康にも向き合う高木さんは、日々レシピのブラッシュアップや新作開発にも取り組んでいます。日や季節によってメニューも変わるので、必ずジビエ料理が食べたい場合は事前に連絡をしておくことがおすすめです。

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