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信州の自然と共に暮らすハンターシェフが教えてくれる山の恵み「カントリーレストラン匠亭(たくみてい)」長野県茅野市

長野 シカ イノシシ
2020.11.09

中央道諏訪南ICから国道20号線を長野県茅野市街へ1kmほど行くと、手づくりの温もりがあふれる看板と、その奥に重厚なログハウスが見えてきます。

今回ご紹介する「カントリーレストラン匠亭」(以下、匠亭)です。

看板には「信州ジビエ」「鹿肉・猪肉・イワナ」の文字が。これらは、地元の山の恵み、天然の食材の旬を熟知したハンターでもあるオーナーシェフの青木 和夫さんが、自ら山へ赴き調達。ジビエは系列の食肉処理施設「信州ナチュラルフーズ」で衛生的に解体、丁寧に調理し、料理に形を変えていきます。

店内に入ると、丸太の壁、板張りの床、暖炉。まるで山小屋に来たような雰囲気です。

高い天井を見上げれば…、鹿角のシャンデリア! 非日常にあふれたこの空間にいると、山の世界へ心が引き込まれていくのを感じます。

野生の鳥獣を害獣で終わらせない、それが地域のためになる

青木さんが「カントリーレストラン匠亭」でジビエ料理を提供するようになったきっかけは、地元のハンターに紹介された鹿肉との出会いでした。信州の山の恵み、長野ならではの食材として、県内外のお客様にも喜んでいただけるのではないかと思い、自身も狩猟を始めることになりました。それが今から30年ほど前のこと。

同じころ、地元では鹿による農林業被害が見え始めていました。そのころはまだ“有害駆除”という言葉すらなく、また狩猟による鹿の捕獲制限も現在より厳しい基準。しかし、青木さんたち地元のハンターは行動を起こします。
「現場を見に行き、被害を受けた人の話を聴いたりして、鹿の食害の状況や鹿の捕獲の必要性を役場に陳情しに行ったんだ」
青木さんたちのこの行動こそ、まさしく現在の有害駆除活動の先駆けとなるものでした。

獣の命に感謝し余すことなく美味しくいただくために、青木さんは食肉処理、精肉・加工品販売を行う「信州ナチュラルフーズ」を起ち上げました。地域課題である有害鳥獣駆除からレストランでのジビエ料理の提供、及びジビエ加工品の製造販売に至るまで幅広く手がけることで、ジビエを地域資源として有効活用すべく力を注いでいます。鹿角のナイフとフォーク(各1,500円・税込)やその他鹿角を使った商品(2,000円~・税込)などを販売しています。
※ただし、黒曜石のナイフ(写真中央のフォークの左のナイフ)は非売品

殺すだけでは殺生。美味しく食べてあげてこそ動物のため

ではさっそく、「匠亭」のおすすめのジビエ料理をご紹介します。

一皿目は、切り口のロゼ色が美しい「狩人の鹿肉ステーキ風(低温調理済)/サラダ・コーヒー付き」(2,300円・税込)。しっとりやわらかい部位(内モモ肉、またはロース肉)を使用し、低温で丁寧に時間をかけて火入れ調理を行なっているので、やわらかさはそのままに鹿肉の旨味を味わうことができます。
※写真は撮影用のため、通常より少ないポーションです

低温調理を生かしたメニューはもう一品あり、それが「狩人の鹿肉カルパッチョ(低温調理済)」(1,500円・税込)。こちらも内モモ肉を使用。肉の繊維のきめ細かさは、若い雌の個体ならでは!
※写真は撮影用のため、通常より少ないポーションです

一番人気は「狩人の鹿肉カレーセット/サラダ・コーヒー付き」(1,300円・税込)。ごろごろと大き目にカットされたワイルドな鹿肉をもりもり食べる醍醐味! 提供する直前に加えるクミンシードやジンジャーのさわやかな香りがふわりと漂い、食欲を刺激します。

最後に紹介するのは、懐かしいような優しい味わいがこのうえなく上品な丼「狩人の鹿丼セット/サラダ・コーヒー・みそ汁付き」(1,500円・税込)。極薄切りの鹿肉は火が通りやすく、加熱しても肉のやわらかさが損なわれません。さっぱりした鹿の赤身肉には、仕上げにほんの少しだけ加える胡麻油でしっとり感をプラス。

「ジビエ肉の食べやすさを知ってもらえたら」という想いの詰まったお土産品も店内で販売していて、「鹿肉大和煮」(900円・税抜)や猪肉味噌煮(1,200円・税抜)、鹿肉ジャーキー(800円・税抜)、鹿肉カレー(900円・税抜)、猪肉カレー(1,100円・税抜)などがラインナップ。これらは、長野駅「MIDORI」2階「信州おみやげ参道“ORAHO”」をはじめ、長野県内高速道路のサービスエリア(一部)、「銀座NAGANO」でも購入可能とのこと。

「『カントリーレストラン匠亭』の料理は、食材を獲る(採る)ことから始まっている」と、青木さん。鹿や猪、渓流の魚、山菜やキノコ。自然の食材を獲る(採る)ということは、同時に季節の移ろいと山の生態系との関係を熟知しているということ。時には熊に遭遇する危険もあるということ。日々山に入ることで、肌で感じる自然環境の変化などについて、「以前は山鳴りがするほどの鹿の大群に遭遇した」「森林の間伐事業で鹿が隠れるような藪が少なくなった」など具体的に語る大らかな笑顔の青木さんから、自然と共に在ることの逞しさと謙虚さを感じながら、胸の奥が熱くなりました。

“御馳走”、そして “いただきます”…。それらの言葉のもつ本当の意味、大切な何かを思い出し、噛みしめ、味わいつくす。そんな体験をしに、信州へ出かけてみませんか?

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