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都心から車で2時間、長瀞の地で味わう滋味深きぼたん鍋「千葉亭」埼玉県秩父郡長瀞町

埼玉県 和食 焼肉・ロースト ステーキ・バーベキュー イノシシ エゾジカ
2021.10.16

埼玉県西部に位置する長瀞町は、町全体が県立長瀞玉淀自然公園に指定されている自然に囲まれた町。町の中心を流れる荒川の川下り、宝登山(ほどさん)のハイキングなど自然に親しむ観光地として人気です。「千葉亭」は、長瀞観光の中心地・秩父鉄道長瀞駅から車で約5分の場所にあります。

「観光で訪れた長瀞の自然がとても気に入って、35年前に移住してこの店を開いたんです」とは、店主の千葉 美枝子さん。

「上流にホタルの里があるから、店のすぐ脇に流れている沢で、6月下旬ごろにはホタルが見られるんですよ。水が本当にきれいなんです」と微笑みます。

東京でステーキ店を営んでいた千葉さんご夫婦が、1987年の長瀞移住を機に開いた「千葉亭」。現在は美枝子さんと息子さんのお二人で切り盛りされています。

旅館のような落ち着いた佇まいで、ホール席のほかに洋間や座敷の個室もあり、グループでゆっくりと過ごすことができます。

移住を計画した際に野生の猪や鹿を見かけ、地元の人が食しているという話を聞いたことが、ジビエ料理を始めるきっかけだったそう。そんな「千葉亭」の名物は、猪肉を使った「ぼたん鍋」です。

創業当時からの看板料理。先代が育んだ長瀞名物「ぼたん鍋」

「主人は岩手県出身でマタギの家系なので、ジビエに親しみがあったんです。せっかくなら地元らしい料理をと、ステーキとぼたん鍋の店を始めました」と美枝子さん。

自慢の「ぼたん鍋」(1人前2,000円・税込)は、八丁味噌や田舎味噌など数種類をブレンドした特製味噌出汁で肉や野菜を煮込んでいきます。

1人前約100ℊの猪肉のほか、白菜、シイタケ、豆腐、くず切りなどを加え、各テーブルのコンロで火にかけて煮ながら食します(※写真は2人前)。

鍋から立ち込める湯気と共に味噌の香りが広がり、食欲をそそります。出来上がったのがこちらです。

創業当時から比べると、ジビエの流通が整備されたので、現在は広島県産など国産の猪肉の中で美味しいと思うものを取り寄せています。
「猪肉はバラ肉だけでは脂っこくなってしまうので、ロースなどいろいろな部位を混ぜることでよい塩梅にしています」。

少しコリコリとした脂身は甘味があり、煮込むほどに肉の旨味や野菜の甘味などが溶け合い、滋味深い味わいになるのが鍋の美味しさ。
「ボリュームが多く見えるでしょう? でも皆さんペロリと1人前食べられちゃうんですよ」と美枝子さん。ちなみに、肉の脂身が苦手な人には、蝦夷鹿の肉で楽しめる「もみじ鍋」(1人前2,000円・税込)も。

「ぼたん鍋」と同じく創業当時からの人気メニューが「ぼたん味噌焼き」(1,200円・税込)。猪肉のロースなどに、白味噌をベースに生姜などを加えた甘辛味噌をまぶして焼き上げます。

少し味噌を焦がすことで風味がアップ。味噌のこっくりした味に生姜のさっぱり感がマッチしています。お酒はもちろん、ご飯とも相性がよく、1,500円(税込)でご飯、味噌汁などが付く定食にすることも。

料理だけでなく、田舎ならではの空間や時間の流れを大切にしたい

先代が東京でステーキ店を営んでいたことから、現在もメニューには「サーロインステーキ」(1,800円・税込)が。そして10年以上前に娘さんの要望で始めたのが、蝦夷鹿のモモ肉約80ℊを特製ガーリックステーキ醤油で香ばしく焼き上げた「蝦夷鹿肉ステーキ」(1,200円・税込)です。

ポイントは肉の上にのっているペースト状のトマトソース。
「主人が考案した西洋わさびなどを加えたオリジナル。これが蝦夷鹿によく合うんです」と美枝子さん。ガーリックの風味が食欲をそそる一品です。

現在、調理を担当するのは息子さん。ホテルなどで料理人として働いていましたが、いったん違う夢を追いかけ東京へ。先代が病に伏したのを機に3年ほど前に地元に戻り、店の料理を引き継いだそう。

跡を継ぐことは「小さなころから父親の背中を見て育ち、店も手伝っていたので自然の流れだった」と息子さん。

鹿のはく製、器、木彫りの人形などが所狭しと並ぶ店内。
「骨董好きの父親が集めたものが、店特有のレトロな雰囲気を作っています。料理だけでなく、こうした父が作ってくれた店のよさを守りながら続けていきたい。お客さんが長瀞らしい料理を、田舎ならではのよさを感じながら楽しんでもらえたらうれしいです」(息子さん)。

「千葉亭」を目的に遠方から訪れる客も多く、「親子三代にわたって通ってきてくださるご家族もいるんです。お子さんの成長を見られるのがうれしい」と美枝子さん。店が忙しい時は、近くに暮らす娘さんたちも手伝ってくれるのだとか。自然豊かな長瀞の地で、家族で大切に守り続ける先代の味。都会とは異なるゆったりと時間が流れる空間で、「ぼたん鍋」を味わってみませんか?

  • ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
  • 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。
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