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捕る人・作る人の真心が伝わる“口福フレンチ”「SUZA bistro(スザ ビストロ)」東京都足立区千住

東京都 フレンチ ビストロ 焼肉・ロースト 煮込み パテ シカ イノシシ ランチ
2018.12.06

近年、老舗から新しいチェーン店まで多くの飲食店で賑わい、「穴場の街」と評判の東京・北千住。今回ご紹介する「SUZA bistro」は、北千住駅西口から徒歩7分の場所にあるお店です。

フレンチ&ブーランジェリーでおいしい時間を提供

こちらは、オリジナリティあふれるフランス料理と、国産小麦&天然酵母使用の無添加パンを提供するビストロ。フレンチのお店で自家製パンを出すお店は多いですが、「SUZA bistro」はブーランジェリーを併設しているため、パンのみの購入もできます。テレビで紹介されて大きな話題を呼んだ「紅茶のクリームパン」(180円・税抜)など、常時10~20種類程度のパンが店頭にズラリ。近隣住民はもちろん、遠方からもパン好きな人々が買いに訪れます。

お店は、今回取材にご協力いただいたオーナーシェフの須崎昭治さんと、ブーランジェの星野久和さん、2人で経営。「パンにこだわるフレンチビストロを開きたい」という須崎さんの考えに星野さんが賛同し、現在のレストラン+ブーランジェリーというスタイルになったのだとか。白壁と木造りの店内は、アットホームかつカジュアルな雰囲気で、気さくな須崎さんの印象そのままです。

須崎さんが目指したのは、”日常使いのできるフランス料理店”。価格を抑えて設定し、ランチは数百円~1,000円台、ディナーはアラカルトで1品1,000円未満の料理から多彩に揃います。パンに合うものやパンを使ったものなど、このお店ならではの個性が光るものばかり。ディナータイムはなんと、自家製パンがおかわり自由です♪(パンチャージ別途500円)

工夫とアイデアもスパイスになった美しい料理たち

取材日は3品の料理をいただきました。1品目は「鹿肉と鹿レバーのパテ」(1,580円、ハーフ890円・税抜)。

鹿レバー・鹿挽肉・豚挽肉などを合わせて作った、3種の肉による食感の違いを楽しめる1品です。胡椒が程よく効いており、軽やかなハーブの風味のおかげで肉の臭みを感じません。脂肪分がある豚肉も入っているためジューシーですが、「2段階で火を入れ、芯温が80度になるまで加熱しています」とのことで、程よい弾力も。マスタードソースを付けると、華やかな辛味がアクセントになり、肉のおいしさが引き立ちます。

2品目は「猪背肉のエチュベ(蒸し煮) 赤ワインビネガーのソース」(2,980円・税抜)。

あえて赤身・筋・脂を切り分けて盛り付けており、部分ごとの味わいや食感を堪能できるのが特徴です。赤身は蒸し煮にすることであっさりした旨味が引き立っています。ひと口大にカットされた筋と脂は噛むごとに肉の濃い旨味がジュワッ。筋は、コリコリ食感がクセになりそう。「赤身と筋や脂が一緒だと、筋や脂の食感がときに悪目立ちするけれど、この食べ方なら食感の違いが魅力になるんです」。なるほど、ひと工夫でおいしさが際立つんですね。

そして3品目が、お店の看板メニュー「自家製パンドミで巻いた鹿もも肉のロースト」(2,180円・税抜)。

薄くスライスした自家製パンで鹿もも肉を巻き、蒸し焼きに。外がカリッ、内側はしっとりしたパンが肉の旨味を閉じ込めています。また、鹿の骨からとったソースは、赤ワインとフォン・ド・ボーで仕立て、スターアニスで香り付け。独特の甘く華やかな香りが、鹿の赤身肉にリッチな風味を足していました。

ジビエへの思いと信条で支えられたお店づくり

須崎さんとジビエとの出合いは、17年ほど前までさかのぼります。都内有名ホテルで料理人としてスタート後、いくつかのお店を経て、神田にあった「パ・マル」というパイとスープの名店で数年修業。そこでジビエを初めて調理しました。「パ・マル」のシェフで名料理人だった故・高橋徳男氏から、“料理人なら捕るところから関わった方がいい”と教えられます。「僕自身も狩猟免許を取得して、狩りにも行きました。狩猟で実感したのは、命をいただくありがたさ。それ以来、料理する食材に対しては敬意を払わなければと考えていますね」。

須崎さんには2つの信条があります。1つ目は、確かな素材を信頼できる人から入手すること。お店で扱うジビエは主に鹿と猪で、長野県茅野市在住の1人のハンターさんからのみ仕入れています。捕獲から処理加工施設での解体に至るまで適切に行なう方で、常に上質なものが届くそうです。野菜は、千葉県と長野県にある2つの農園から無農薬のものを調達。「生産者と繋がり、信頼関係を築けると、捕った人・作った人の思いが伝わる良質食材を手に入れられるんです」。

2つ目の信条は、お店で提供するメニューはすべて無添加であること。「例えば、ランチのカップスープも、チキンブイヨンではなく、出汁をとって作りたいなぁと。お客様に”また行きたい”と感じていただけるお店にしたいですね」。実際、常連のお客様の割合は、ランチが5~6割、ディナーはなんと8割で、圧倒的な支持率の高さです。

カジュアルでアットホームな雰囲気ながらも、お客様への気づかいは真摯そのもの。「SUZA bistro」で食事をすると、それが伝わってきます。記者も「また行きたい!」と心から思える、本当にすてきなお店でした。

  • ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
  • 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。
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