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創業50年・浅草で真の美食を守る本格懐石の店 「浅草 若鹿」

和食 懐石 東京
2019.08.30

国内有数の観光地・浅草。浅草寺を中心に歴史を感じる町並みと、東京スカイツリーなどの新スポットが絶妙に融合され、“現代日本”を最も体感できる町のひとつです。

今回ご紹介するのは、この下町の地で今年創業50周年を迎えた老舗の懐石料理店「浅草 若鹿」。ご夫婦と京都・大阪から戻られたご子息の3人で経営している、落ち着いた雰囲気のお店です。

親子二世代にわたって親しまれる美しい懐石料理

暖簾をくぐり地下へ降りると、料亭のような趣ある空間が広がっています。小さな石庭や灯篭、鹿おどしや美しく生けられた草花など、日本の美を感じられる演出。大小ある部屋は、お客様の人数によって仕切ったり開放的に広げたりできます。

店のご主人は梅津秀治さん。銀座の名店「三笠會館」ご出身です。店のシンボルマークであり店名にも付いている「鹿」の文字は、三笠會館の初代社長さんから開店時にお祝いでいただいたもの。

奥様は接客を担当し、常連さんから外国人客までさまざまな話をしながら店を盛り立てます。数年前までは秀治さんが厨房に立っていましたが、今はご子息の良紀さんがすべての料理を担当。受け継がれた店の味は、多くのお得意さんたちから支持されています。

「若鹿」で振る舞われるのは、旬素材をふんだんに使った本格懐石と、極上の鹿肉や黒毛和牛によるしゃぶしゃぶコース。メニューは9種類のコースが用意され、懐石料理・鹿肉しゃぶしゃぶコース・黒毛和牛コースでそれぞれ3種類ずつあります(全コース1人前6,000円~・税サ抜)。どのコースにも、秀治さんが長年かけて集めたセンスのよい和食器が使われ、美しく盛られた料理はまるで芸術作品のよう!

選りすぐり旬素材を使った彩り豊かな料理

取材当日にいただいたのは「鹿肉しゃぶしゃぶコース」(1人前10,000円・税サ抜)。前菜・刺身・焼物・鹿肉しゃぶしゃぶ・デザートで構成されています。

この日の前菜は、湯葉と枝豆のジュレ。甘みを感じるまろやかな湯葉に、枝豆のジュレがマッチしています。

刺身はヒラメ・マグロ・イカ、トリ貝。季節によって食材は異なりますが、どれも新鮮で身が引き締まった味わい。

どれも絶品ですが、特に感激したのが鮎の焼物。大ぶりの鮎は愛知県産のもので、良紀さんが全国各地の鮎を試したうえで選んだ特別なもの。長時間焼いて骨までやわらかくしています。ふっくらしたやわらかな身、独特の旨味を感じるワタ(内臓)と併せて、頭から尻尾まで何も残さずに食べきってしまうほどの美味しさでした。秋冬の焼物もお客様から大好評とのこと。

そしていよいよ主役の、鹿肉のしゃぶしゃぶへ。

鹿肉は蝦夷鹿のロースのみ使用(1人あたり80~100g)。長年取引をしている業者さんから、極上の肉を仕入れています。野菜はシイタケ・ネギ・白菜・京水菜・エノキ・シメジ、そして葛切りが入ります。出汁は北海道産昆布と鰹節でとったもの。あっさりとして優しく上品な味わいです。

この出汁に鹿肉を軽くくぐらせていただくと…。

これは絶品!鹿肉はほのかな野性味を残しつつも、脂身の甘さが出汁の風味と重なってやわらかく主張してきます。〆は雑炊にして最後まで鹿肉の旨味を満喫できるのがうれしいポイント(雑炊または茶そばを選択可)。

そしてデザートは、南高梅の白ワイン煮。美しいグラスの中には梅のジュレも入っており、甘くやわらかな南高梅の優雅な香りが後を引きます。

35年以上”鹿肉のしゃぶしゃぶ”にこだわる理由とは

一般的に、鹿肉にはさまざまな食べ方があります。しかし「若鹿」では、鹿肉のしゃぶしゃぶを初めて提供した35年以上前から今日まで、“しゃぶしゃぶ”にこだわっているとのこと。その理由は…?

「うちのしゃぶしゃぶは、鹿肉に(臭み消しなどの)特別な調理方法は施していないんですよ。やっと出合ったよい肉を使っているだけ。しゃぶしゃぶは、素材のよしあしや旨さが一番わかる食べ方だと思っています」。

なるほど、肉のよさに自信があるゆえの提供方法なのですね。

日本の美食を求めて、いまや世界各国から多くの人々が集まってくる浅草。この地で、世代交代しながら長く暖簾を守っている「浅草 若鹿」は、ジビエの名店でもありました。

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