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大宮の一軒家レストランいただく、優しさが詰まった蝦夷鹿のスープ「Lancret(ランクレ)」

フレンチ 埼玉 シカ
2020.03.30

埼玉県さいたま市にある大宮駅は、JR在来線、東武鉄道、埼玉新都市交通のほか新幹線も乗り入れる埼玉県最大の主要駅。フランチレストラン「Lancret」はその東口を出て徒歩約10分、住宅街の中にあります。

車が1台通れるほどの路地に立つ一軒家の1階、白い壁にはためくトリコロールの国旗が目印です。

手入れが行き届いた清潔感のある店内は、大きな窓からこぼれる光が心地よく、抑えた色調のインテリアが落ち着いた雰囲気です。

腕を振るうのはフランスでの修行経験もあるオーナーシェフ、小笠原 純さん。ワーキングホリデーで渡仏し、パリやボーヌを訪れ、庶民的な店から星付きのレストランまで経験。
「約3年、いろいろな店で働き、現地の人の食材の組み合わせの発想、まかないからもインスピレーションを受けて多くのことを学びました」。

そして生まれ育ったこの地に「Lancret」をオープンしたのが約7年前のこと。ブタのマークは店のアイコンです。奥様がホールを担当し、良いことも悪いこともお客様の反応を小笠原さんに伝え、小笠原さんがそれを受け止める。夫婦二人三脚で地元の人に愛される店に成長させました。

食べる人の気持ちに寄り添ったジビエ料理

「Lancret」では例年10~3月ごろに蝦夷鹿の料理を提供。ジビエ料理もお客さんの好みを分析しながら、トラディショナルなものにオリジナルのエッセンスを加えた料理に仕上げています。

ずっとフレンチ一本でこの道を歩んできた小笠原さんの確かな腕に裏打ちされた料理の1品目は、前菜「白糠産 蝦夷鹿のコンソメで作ったオニオングラタンスープ」(1,060円・税込)です。

「蝦夷鹿の骨を焼いて丁寧に出汁をとったスープに、飴色に炒めた玉ネギとパン、チーズをのせてこんがりと焼きます。鶏の出汁も合わせているので、ジビエ初心者でも食べやすい仕上がりになっているんです」と小笠原さん。

アツアツのチーズの下からは、こんなに優しい色のスープが。シンプルでさっぱりとした口当たりに、玉ネギの甘味が感じられます。チーズと一緒に口に含むと、程よい塩味がプラスされ、また違った味わいに。

実はオープン当初は王道のフランス料理にこだわっていたと言います。しかし土地柄、年配のお客さんも多く、ジビエはなかなか受け入れられませんでした。それでも「東京まで行かなくても美味しいものを食べてもらいたい」という気持ちを胸に、この土地のお客さんの好みを分析し、オリジナルのエッセンスを加えてブラッシュアップしていきました。

そして生まれたのがこのスープのような小笠原さんならではの優しい一皿の世界です。

“ちょうどよい量”を美味しくいただく

お客さんに料理を楽しんでもらいたいという小笠原さんの気持ちは、メニューリストにも表れています。

「Lancret」ではランチもディナーもコースが主体ですが、ディナーはアラカルトも選べます。このメニュー設定がおもしろいんです。ディナーは前菜、メイン(魚または肉)、デザート、食後の飲み物が付く基本のAコース3,880円のほか、前菜が2品選べるBコース4,940円、メインに魚料理をハーフポーションと肉料理の両方を楽しめるCコース4,940円(すべて税込)の3種類。量や好みで選びやすい設定になっています。

そしてアラカルトで注文する場合は、前菜1,060円、メイン2,100円(各税込)など統一価格。たとえば、メインに蝦夷鹿を頼んでもホロホロ鳥とフォアグラのパイ包みを頼んでも、同じ2,100円なのです。

「もともとはコースだけだったんですが、特に年配の方などたくさんの量を食べられない方もいらっしゃいます。でも美味しいものは食べたい。それなら適量を楽しんでいただけるようアラカルトも置くようになりました。値段でセレクトが左右されてしまうのももったいないので、選びやすいよう同じ料金にしました」。

そんなお客さま想いの小笠原さんの料理2品目は、メインの「白糠産 蝦夷鹿肩肉の赤ワイン煮込み」(2,100円・税込)。焼いた蝦夷鹿を赤ワインやフォンドボーなどと煮込んだ一品です。

ナイフがスッと入るやわらかな鹿肉でパサつきもなく、しっとりとした食感。口の中でほろほろとほぐれていきます。煮汁を煮詰めたソースは穏やかな酸味で、赤ワインの風味が主張しすぎないまろやかな味わいです。

メニューは時期によって異なりますが、蝦夷鹿はテリーヌのほか、ミートソースのグラタンやソーセージなど親しみやすい料理にも取り入れてお客さんにも人気に。
「Lancret」ではランチでも2時間ほど、ディナーなら2~3時間かけてゆっくりと食事を楽しむお客さんが多いそうです。「1人で厨房に立っているので、それくらいのペースが私にもちょうどいいんです」と笑顔で教えてくれました。

小笠原さんの穏やかな人柄が、「Lancret」にゆったりとした時間の流れを作っているのかもしれません。

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