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飛躍を止めない!大人クラシックな名店フレンチ「monoLith(モノリス)」

フレンチ 東京
2018.09.28

暑い夏も終わり、f冬にかけてますますジビエがおいしくなる季節を迎えました。そんな中、以前ご紹介した「LATURE(ラチュレ)」の室田シェフから、ジビエのおいしい素敵なお店があると教えていただき、さっそく訪れてみました。場所も「LATURE」から徒歩2分という目と鼻の先。表参道と渋谷の間、最近グルメの名店が集まっていると話題のエリアです。名前は「monoLith(モノリス)」。シックモダンな静かな佇まいの、センスを感じる外観です。

実はこちらのお店、今年9月に店内のリニューアルを終えたばかり。かつては、入口からテーブルにつくまで続いていた廊下の左側の壁を取り除き、厨房が見える明るいオープンスタイルに変身。入店すると、すぐに厨房のシェフやスタッフが明るく出迎えてくれるので、初めてのお客さまでのとても入りやすいムードを醸し出しています。リニューアルにあたり、椅子やカトラリーも新しいデザインに入れ替え、落ち着いた色調のくつろぎ空間に仕上がっています。

憧れの名店へラブコールを続け、実現した修行の道

オーナーシェフの石井剛氏とジビエの出会いは、フランスでの修行時代に遡ります。渡仏して3年も過ぎ、そろそろ帰国か…という頃、「学ばせてほしい」と手紙を出し続けていたロワール地方のミシュラン2つ星の店「ベルナール・ロバン」から、OKとの返事が飛び込んできました! 念願かなって憧れの店での修行。夏~冬までの約半年、ジビエにとって最も旬のシーズンを「ベルナール・ロバン」で過ごすことになります。羽をむしる・皮をはぐというところから、内臓の処理の仕方、熟成の方法まで、ジビエの扱い方を一から学ぶことができたといいます。

「こういったことを自分は学びたかったんだ…と、充実した日々でした。ジビエは、なんといっても飼育された食肉にはないワイルドさが魅力。同じ鹿肉であったとしても毎回同じではない個体差があるんです。その個体差をいかにうまく調理に生かすかが、一番難しいところであり、料理人としてのおもしろみを感じるところでもあります」。

「monoLith」では、シェフのお任せのコースのみを提供。ランチは3700円~、ディナーは6500円~、石井シェフの創作力が詰まった料理を味わうことができます。

この日は、シェフが「ほかの鹿とは全くの別物」と太鼓判を押す、北海道・北見で獲れた蝦夷鹿を使ったメインの「蝦夷鹿/ショコラ」(+1500円)いただきました。こちらはコースの中に含まれている一品です。

まずは、ソースも付け合わせの食材も合わせず、シンプルにお肉だけ味わってみます。北見の蝦夷鹿は初めてでしたが、「赤身や脂身の肉質、旨味の凝縮度…、どれをとっても最高峰。抜群の弾力があるのに、それでいて柔らかい」という石井シェフの言葉通り、旨味と甘味のバランスが格別で、塩の塩梅も絶妙! 肉そのものの味をシンプルに堪能することができました。

続いて、チョコレートのソースを付けて、ひと口…。これまた、初体験の味! こってりとした見た目とは違って、しつこさが全くなく、なんともいえないカカオのほろ苦さが肉の旨味を引き立ててくれ、本当においしい!

「チョコレートというのはとても複雑で、苦味・甘味・酸味といった味のバランスが整った、ある意味“完成された調味料”なんです。それを、赤ワインソースにつなぎとして加えることで、主張しすぎないけれども個性あるソースが完成。特に赤身の肉にはおすすめです」

赤身だけでなくソテーした脂身も添えられて、味の違いを楽しむこともできます。赤身よりも脂身を長く焼いていたので、その理由をシェフに尋ねると、「鹿肉の脂身は融点が高いので、その分長く焼く必要があるんです。でも融点が高いということは体内で溶けない。吸収されずに排出されるから、とてもヘルシーなんですね」。なるほど! 旨味はしっかり味わって、余計な油脂は出て行ってくれるなんて、うれしい限りです。

野性味あふれるジビエ肉の付け合わせに、今回シェフが選んだのは、“セップ茸”と“ジロール茸”というフランスの野生のキノコや、鹿がエサとして食べる赤すぐりの実。それらを添えるとで、単に美しいだけではない、ひとつの命の物語をお皿の上で奏でているようです。

米をエサにする青首鴨を調理する時は、命をいただく生き物へのお供えの気持ちで、付け合わせにリゾットを添えることもあるとか。

「命あるものを殺生しているのだから、それをお皿の中に最高に美味しい状態にして戻すという使命が、料理人にはあると思っている」。その言葉に、石井シェフの温かな人柄と食材への真摯な姿勢を強く感じました。

伝統×進化が奏でるハーモニーに酔う

「モノリス」という店名は、映画『2001年宇宙の旅』で、進化の象徴として記憶に刻まれた石柱状の謎の物体“モノリス”からとったとのこと。「オープンして約8年。最初から完璧ではなく、店も料理も少しずつ進化し続けていけばいい」。各テーブルには、“モノリス”をイメージした石版をショートプレートとして配置、ペーパーウェイトのパワーストーンも惑星のようで、ひと時の非日常=宇宙空間へ誘う演出も素敵です。

フランス料理の基本は軽んぜず大切に継承しつつ、人々の趣向に合わせて進化していくべきだという石井シェフの考え方に、今後も一体どんな料理を披露してくれるのか、再訪がまた楽しみになった“新生モノリス”でした。